私は現代の科学で体現出来うる限りの超速移動術(人はそれを飛行機と呼ぶ)で帰ってきた。
だって、本当にいるのなら確かめないと。
士郎は異常だと言っていたけれど、そんな事は後回しでいい。
私の目的はただ一つ、彼に…会いたい、それだけだから。

worldendfairytale 2

ちょっとスケジュール的に無理をして帰ってきた私は、嫌だけど待つのも面倒なので新都からの道程を歩いていた。
はっきり言って、疲れてるし荷物が重い。
バスで途中まで行きたかったけれど、残念ながらバスは行ったばかりで待つ必要があった。
待つなんてまどろっこしい。
だから疲れてるけど、歩く事にした。
新都と町を繋ぐ橋。
凪ぐ風は初秋を思わせて気持ちいい。
まだ日差しは暑いけど、この国は秋になりかけている。
まだ川とかで遊んでる人、いるんだろうな…なんて川に眼を向けたら。
そこにいたのは服装が違おうと見知った姿。
見知ったほど一緒にいたわけではないけれど、見間違えない自信はある。
士郎の話では港で釣りしてるって聞いたんだけど。
川でも釣り、するんだ。
あまりにも自然なその姿に、私は帰ってきた理由も目的も忘れていた。
ふと思い出して足を動かす。
動かすのは家のほうへ。
間違っても川ではない。
だって、なんだか…
私がいなくたってなんでもないって言われているみたいに思ったから。
だから、あの場から早く立ち去りたかった。
私はいないとダメなくらい落ち込んだのに、アイツはそんな事ないのかと思うと悔しい。
私の存在ってその程度なの?なんて思っちゃう。
ああ、ダメだな私。
思考がどんどんネガティブになっていく。
これは早くうちに帰ってシャワーでも浴びて思考を切り替えないと。
でも。
私が帰っているとアイツに伝えなかったら、アイツは…会わないままでまた消えるのだろうか。
その程度の認識でしかないのだろうか。
焦りが募る。
自分でも分からない感情が、暴走しそう。
どうしよう、もしアーチャーに会ったら。
今度こそ私は彼との別れに耐えられないかもしれない。
そっけない態度で別れたりしたら、一生立ち直れないかもしれない。
どうしよう。
飛行機に乗るまではカチカチに固まっていた決心が、姿を見ただけで崩れてしまった。
私はどうしたらいい?
このまま会わないほうが…いいのかもしれない?
会うのと会わないの、どっちが後悔する?
その気持ちにけりがつくまでは、会えない。
どうしよう。
私の頭はその言葉で埋め尽くされて、まさか橋で見ていたところをアイツに見られていたなんて考えもしなかった。
そして、その後アイツが後を追ってうちまで来ていたことなんて、全く知らなかった。
アイツとの予期せぬ再会は数十分後。
混乱したままの私はシャワーを浴びながらその事にも気づかない。
ほんと、どうしよう。


というわけで、二回目です。
次回が最終回、アーチャーさんとの再会です。
ちなみにホロウやってないので実際の内容は知らなかったり。
よって、オリジナルをなぞっているようで妄想ですよ。
凛ちゃんの心理が乙女チックなのも、妄想です。
まあ、会ってしまえば潔く男らしくきっちり決めてくれると思いますが。
悩むけど、シークタイムは一秒以下。
決断の早い女の底力を書けたら…いいですね(逃)

続く